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★Angel Book

運命と愛で結ばれたかぞくのはなし。

明るい日差しの中、最期のお散歩

ケージの奥で横たわったまま、もう声を出すことも出来なくなっていたまるたんは、
それほどまでに弱っていたのに、食道にチューブを挿入する手術をされていました。
私たちはケージの前に立ったまま、院長にその手術の必要性や安全性…いえ、
それは事前に説明されるべきことです。
なぜ家族に確認もせずそんな処置をしたのか、それをしたからと言って、まるたんに
どんな良い効果があるのか。
一瞬私の頭の中に、院長の白衣の襟を掴んで詰め寄る自分の姿が浮かびました。
「どうしてこんな勝手なことを!
どうしてまるたんに痛い思いをさせるの!
こんなことをしたってもう元気にならないんでしょう!?」
何もかもがわからなくてパニックを起こしそうでした。
でも、ケージの中から私とIちゃんを見つめているまるたんは、穏やかで優しくて、
きらきらした綺麗なエメラルドグリーンの瞳を、変わらずに輝かせています。
「そんなこといいから、早くおうちに帰ろう。早くおうちに帰りたい」
まるたんがそう言っているような気がして、私たちは黙って院長のあとに続きました。

院長の手で処置室の隣にある診察室へ運ばれたまるたんは、
初めてその病院を訪れたときと同様、体重計になっている台の上におろされました。
まるたんの身体には何ヶ所かにガーゼが貼られ、そのガーゼの下には切開された
傷があるはずでした。
もう自分で傷口を舐めてしまうほどの元気もないということで、エリザベスカラーは
着けられていませんでした。
でもそれは、こんなに弱ってしまってからのことではなく、手術の翌日に私たちが
見た時にもそうだったので、まるたんは手術を受けた時点で、その残りの生命力を
ほとんど使い果たしてしまったのだと思います。
この退院の日より一ヶ月ほど前、初めて受診した時には首を左右に動かして
あちこち観察したり、自分の後ろに回って触診する院長の顔をを振り向いて
眺めたりしていたのに、もうぐったりしたまま、
自分の身体を少しでも動かすことさえできなくなっていました。
それまでの経過の説明は、前日のうちに受けていました。
帰宅してからの注意などを聞き、まるたんはその場でもう一度痛み止めか何かの
注射と、強制給餌をされました。
私たちは診察台の傍らにぼんやりと立ちすくんだまま、遠い場所で起こっている
ことのように、院長と看護師からの処置を受けるまるたんを見ていました。
「じゃあ、先に会計を」
あとのことを看護師に任せると、院長は受付のコンピューターの方にいきました。

やっと解放され、三人で待合室に座りました。
まるたんは、弱々しく私とIちゃんの顔を見上げて、安心したように目をとじました。
院長の計算は長く、私たちは待たされました。
トリミング室には、その日もカットとシャンプーのために犬がいて、順番待ちなのか
トリマーの足もとにはキャリーに入ったままの小型犬もいました。
ドライヤーをかけられている犬が、嫌がって大きな声で鳴きわめいています。
まるで虐待されているかのような、悲鳴にも似たその声は、私たちの神経を
引っ掻くように長く長く続きました。
まるたんが不安になっちゃうからやめて。
お願い、黙って……。
傷口がくっつかないままのまるたんの身体は、ぎゅうっと抱きしめることができません。
不安になってしまうのは、まるたんよりもヒトの方でした。
会計を待つ私もIちゃんも、まるたんを真ん中にはさんで座ったまま泣きそうでした。
やっと計算が終わり、カウンターに呼ばれました。
三十数万円の請求書は、毎日どんな薬を使ったか、ICUに何日はいっていたかなど
詳しく記されていて、数枚に及んでいました。
「ペットの保険には入ってますか?ああそう、入ってれば半額になったんだけど」
そう言う院長に、黙ってクレジットカードを渡し、会計を済ませて外に出ました。

今でもまったくわかりませんが、
後悔と憤りばかりを感じますが、
病院を出るときの習慣になってしまっていたのか、
私たちは、この院長に『ありがとうございました』とはっきりと言ったのです。
まるたんが言葉を理解していたなら、さぞ悔しかったでしょう。
一体どこが、一体なにが「ありがたい」というのか。

まるたんを抱いて、来た道を家を目指して歩きました。
暖かい日でした。最後のお散歩です。
空き地には背の高い雑草が生い茂り、そこにスズメがたくさん遊んでいました。
「まるたん、鳥さんいるよ」
元気だった頃、いつも家の中から鳥や虫を見つけると
「ア、ア、ア、ア」
と高い声で鳴いていたまるたん。捕まえたくて仕方なかったのに、
もう、それを見ても何の反応もしませんでした。


つぎの記事はこちらです→

[タグ未指定]
[ 2009/11/07 23:50 ] ★まるたん | TB(-) | CM(6)
soramamaちゃん Sでちゅ
本当、信じられない想いです。
そして、自分たちが何も言えなかったことも、今となっては信じられない!
お父さんも誤診だったんですね。
「誤診」されると、その分関係ない治療をされてしまって
たいせつな時間がどんどん無駄になってしまうのが怖いですね。

「医療は『成功報酬』にするべきだ」
という知人がいますが、そうすれば医者側ももっと緊張感を持って患者・病気と
向き合えるかもしれませんね。

[ 2009/11/15 00:26 ] [ 編集 ]
これでもかってぐらいでてきますね
院長~信じられません!v-412
人間じゃないからってこんな大金、
聞きもせず手術するなんてどうなってるの!!
今白い巨塔の再放送をやっていてまるで父の誤診は
白い巨塔の世界だね、と言ったのを想い出しみてるのですが
この世界と似たものを感じますv-390
まるたんと最後におさんぽできてよかったですねv-409
[ 2009/11/14 01:09 ] [ 編集 ]
そらまめさんへ Sです
窓際で、ガラス越しに鳥さんや虫さんを見つけると、
みんな似たような高い声で、口元を微妙に震わせて声をだしますよね。
可愛くて大好きな、ねこのしぐさのひとつなんですが、
あのときのまるたんは、視線をぼんやりと空き地に投げたまま何の反応もしませんでした。
でも、その瞳に映った秋の空の色はとても綺麗でしたよ。

そうなんですっ。今になってみるとぼったくられた想いですv-412
請求書をアップしてやろうかとも思いましたよ……。
それは冗談ですが、「人の弱みにつけこむ」的ないやらしさは感じました。

りゅうくんとお散歩に行かれたのは、とても素敵な思い出ですね。
意識がなくても、色んなことを話しかけることはできるし、
そらまめさんの声はりゅうくんの耳に届いて、きっと嬉しかったと思います。
愛されたまま旅立って、りゅうくんは幸せだったんじゃないでしょうか。
月命日のシュークリーム、「卒業」されましたか……。
毎月、思い出して悲しまれているそらまめさんに、りゅうくんが
「もういいよ、もう大丈夫」って言ってくれたんですね。
ありがとう、りゅうくん!

[ 2009/11/10 01:52 ] [ 編集 ]
しゅりっちさん ヒトSです
こんばんは。
そう!シュリくんは元気なんだから、混同しちゃダメですよ~!
それに、まるたんの記事には悲しいことがたくさん出てきますが、
いま一緒にいてくれる銀蔵・カヲルもものすごく可愛くて大好きで愛してるので、
私たちがいま悲しい想いで日々を生きているわけではないんですよv-346
人間でも動物でも、命あるものは必ずさよならの時が来る。
あっ、しゅりっちさんも最近トイレのグリーンくんとさよならしたばかりですよね。
シュリくんが切なそうな顔をしてました……。

それより、「余命3日」ってしゅりっちさんが経験されたんですか!?
回復してよかったですね!!!ほんと、良かったです。

生きていれば、誰にでも色々なことが起こりますよね。
「悲しさ」も「寂しさ」も、なんでも「感じられる」ということは素敵なことだと思います。
辛い経験も、それを生かして色んな人に優しくできる自分でありたいです。
[ 2009/11/10 01:38 ] [ 編集 ]
こんばんは。
まるたん、鳥さんを見ても反応がなかったんですね・・・
それは悲しいことですね。
30万円ですかっ!
その金額にも驚きました。
最後のお散歩ですか・・・
わたしもりゅうが旅立つ前の日、
病院の帰りに具合が悪くてもう意識もないりゅうを連れて好きだった公園に連れて行きました。
散歩の途中に旅立っちゃってもいい・・・
って思いながら・・・
でも行ってよかったって思います。
そうだ、ご報告です。
11月3日はりゅうの月命日でしたが・・・
やっと月命日のシュークリームから卒業しました。
なぜか思い出さなかったんです。
思い出したのはもう暗くなってからで
買いに行こうかとも思いましたが
もう大丈夫とりゅうに言われた気がして・・・
これで終わりにしようと思いました。
[ 2009/11/09 20:20 ] [ 編集 ]
切ないけど、大事なまるたんの話ですよね。
いつもこのお話を読む時は、シュリを思い浮かべてしまって
かなり涙腺がゆるくなってしまいます…
(アカンアカン、シュリはまだおるってば)
どこの家庭も、ペットに注ぐ愛情表現って色々ですが、私の場合はシュリには玩具も服もウェット缶みたいな美味しいご飯も、何ひとつ与える気はさらさらなくて、
唯一、守りたくて、少しでも長く一緒に居たくて、ほんで高くても保険に加入してるんですよね。
どんな命も……儚いです。
保険に入ったからって病気した時にただ保険きくってだけなんですけどね、私がね、ちょっと昔に大病で余命3日…ってのを味わってしまったもんだから、なんか生命とか死とか、人よりチョビッと敏感かもですi-229
ユックリ綴って下さいね…凄く大切な事柄ですからねっi-228
[ 2009/11/08 02:07 ] [ 編集 ]
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Angel Book かぞく紹介

ぞうくん

銀蔵
Ginzo
2005年10月2日生まれ  ♂ 6.1kg
呼び名:ぞうくん、ぎんたん、他色々
頭が良く、感情豊かな甘えんぼ・さみしがり。
とにかく「いい銀」!


カヲルさま

カヲル
Quaol
2005年10月2日生まれ  ♀ 3.2kg
呼び名:ぼうちゃん、カヲルさま、他色々
猫の魅力に溢れた永遠の子猫。とても賢い。
脅威の運動神経で、毛質ふわふわ


なおちゃんのブログ「ポロ伝」へGO!

なおちゃん
12月14日生まれ  ♂ 50g
おいしいもの大好きで、みんなの幸せを願うやさしい子。
奇跡のプリティマイナン。銀蔵とカヲルの兄


「ポロ伝」にはぼくもたまに出ますよ。

みづきくん
5月15日生まれ  ♂ 112g
やさしい、おっとり、天然のミズゴロウ。
銀蔵とカヲルの兄。



アイ@POKEMON
11月1日生まれ  ♀
画像配置担当。ポケモンLOVE。


ヒトS
1月20日生まれ  ♀
記事文章担当。チョコレートとねこがだいすき。


ともだち
「銀と桜」に飛ぶよ~

銀ちゃん
2007年5月12日生まれ  ♂ 6.0kg?
「銀と桜」の銀ちゃん
銀蔵のベストフレンド! 西の王子。
ブログ開設時から応援チュウ!



「銀diary」に飛ぶよ~

銀ちゃん
2011年4月5日生まれ  ♂ 6.5kg
「銀diary」の銀ちゃん
我が家と同じく、里親募集掲示板からの運命的な出会い!
すくすく育って大きい銀ちゃん。
(写真は子猫時代です)



「さくたろぐ」に飛ぶよ~

さくたろう
2009年12月9日生まれ  ♂ 5.1kg
「さくたろぐ」のさくたろうくん
甘えんぼ王子。心臓の病気と闘い、
2014年8月26日に天国へ。


「さのすけのロックンロールハイスクール」に飛ぶよ~

さのすけくん
2009年4月8日天国へ。 ♂ ?kg
大阪府枚方市出身のさのすけ選手
所属:DMF/しましま団



「らぷそでぃ」に飛ぶよ~

ジョジョくん
2002年5月6日生まれ。 ♂ 4.8kg
そばかすクルルさん家のジョーさん
おやつとアニメと清志郎が大好きなクルルさんと
ジョーさんのほんわかやさしい日々をお届け!


「Pudding a la mode(プリン・ア・ラ・モード)」に飛ぶよ~

プリンちゃん
2011年6月15日生まれ。 ♂ ?kg
にゃんこの母ちゃん家のプリンちゃん
ひょうきんな母ちゃん中心、そしてプリン・芽生。



「そらの虹色おさんぽ写真」に飛ぶよ~

そらまめニャンズ
2005年7月20日生まれ  ♂ kg?
代表:そらまめくん(左)とうずらくん(右)
透明感のあるきれいな写真とほんわか個性的な猫たちの日常「そらの虹色おさんぽ写真」は
毎週月水木更新☆



「しゅりっち THE GOGO」に飛ぶよ~

Shuriくん
2005年7月18日生まれ  ♂ 4.0kg前後
元気いっぱい♪しゅりっちさん家のチンチラシルバーShuri君
しゅりっちさんとの出会いはガンダムの記事!



「I LOVE SORA☆」に飛ぶよ~

空にゃん
2005年4月18日生まれ  ♂ ★kg
おっとり、やさしい、かわいい男の子の空くん。
空にゃんと似た雰囲気のステキなsoramamaちゃん。
すこし銀蔵似&ふたりの実家・水戸つながりで出会いました。



「タケシ」のカテゴリへ

タケシ
2007年6月30日生まれ  ♂ 5.3kg
ブログをやっていない、Shizukaちゃんのタケシくん
Shizukaちゃんとは離れて暮らしてるの。
早くまた会えるといいね!



「銀と桜」に飛ぶよ~

桜ちゃん
2007年12月15日生まれ  ♀ 2.8kg?
「銀と桜」の桜ちゃん。愛称サクちゃん
表情豊かでかぞくを癒すかわいい女の子
おもちゃと遊びがだーいすき♪




はるちゃん
?生まれ  ♀ ?kg
ブログをやっていない、みつひろさん家の温ちゃん
ノラ出身、左目がくもっていて今もよく見えないけど、かわいく元気!





りんごちゃん
2003年12月8日生まれ  ♀ 5.3kg
アイのパソコンの先生のおうちの長女(こうめちゃんとは実のきょうだい)
とっても怖がりで、玄関のチャイムが鳴っただけで隠れちゃう




こうめちゃん
2005年4月20日生まれ  ♀ 3.4kg
アイのパソコンの先生のおうちの次女・こうめちゃん
とってもかわいく、天真爛漫なお嬢。Sとアイは、生後2ヶ月頃に会ったきり。


もらったもの
◆Atelie *Soraniji Sanpo*


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